製品紹介Yo-King
クラウド型システムによる
容器管理システム
大陽日酸グループでは、産業ガスや関連機器の在庫をITシステムで管理している。そこで使われているのが、インターネット経由でソフトウェアパッケージの提供を可能にするSaaS(※1)方式だ。大陽日酸システムソリューション(以下、TNSS)はSaaS を活用した新システムで、大陽日酸グループ以外の企業にもノウハウの提供を進めている。
※1 SaaS方式
SaaS (Software as a Service):
イインターネット経由のソフトウェアパッケージの提供を指します。サービス提供者側のサーバでソフトウェアを起動させ、ユーザーがネットワークを通してソフトウェア機能をサービスとして利用できます。


Q1. Yo-Kingが生まれた背景は何ですか?
グループ外のお客さまでも利用を可能に
大陽日酸グループが販売する産業ガスは、一般的にはボンベと呼ばれる高圧ガス容器に入れて流通されています。そうした容器は事故を防止するために「高圧ガス保安法」で、出入庫、返却、回収などの記録を義務付けられており、大陽日酸では1998年から支社・支店などの拠点ごとにPCを導入し、「シーマス」と呼ばれるシステムで出庫や入庫のデータを入力して容器管理を行ってきました。
しかしながら、時代が移りゆく中でネットワーク環境も大きく変化し、各拠点だけでなく社外でも、そうしたデータの入力を行えるシステムが求められるようになりました。そして2008年にSaaSを活用した新システム「SmartCyliUS」(スマートシリウス)をTNSSが開発し、Web上での利用を可能にしました。ただ、SmartCyliUSは大陽日酸グループ内のネットワークのみで使えるシステムであったため、グループ外のお客さまでも利用できるよう2010年に「Yo-King」(ヨーキング)を開発。クライアントはインターネットさえ接続できれば、時間と場所を選ばずシステムにアクセスできるようになりました。
Q2. Yo-Kingが果たす役割・特徴・意義は何ですか?
顧客ごとに機能をカスタマイズ
Yo-Kingの導入により、データをすべて一つのサーバに集約して、一元管理できるようになりました。Yo-Kingは産業ガスや関連機器の製販管理、容器管理、容器検査などの機能に加え、企業の内部統制や保安・品質保証、経営情報の見える化といった経営をサポートする機能も有しており、利便性の高いシステムとなっています。これらはERPシステム(※2)とも呼ばれ、生産から購買、流通、納品、在庫管理、会計などのデータを、部門間でシームレスな連携を実現させ、経営の効率化を図ることができます。加えてクラウドシステムを活用しているため、導入企業はサーバやソフトウェアの設備投資が不要で、初期費用を抑えることが可能であり、事業領域に応じて、必要な機能を取捨選択することもできます。
※2 ERPシステム
ERP(Enterprise Resources Planning)は、経営に必要なリソースを一元化して管理し、リアルタイムで最適な経営判断に役立てる考え方で、これを具現化するためのITシステムです。
Q3. Yo-Kingの導入効果はどのようなことでしょうか?
クラウド型の特徴が反映
SmartCyliUSは大陽日酸グループ内でのみ利用できるシステムであったため、グループ外のお客様はYo-Kingが開発されるまで、シーマスを使い続けていました。シーマスも優れた機能を有していたものの、企業内ネットワークでの利用に限られていたことに加え、開発から時間が経っていたため、十分なサポートが難しくなっていました。一方、Yo-Kingはクラウドを利用しているため、常に最新のIT基盤やソフトウェアを使うことができます。
大陽日酸ではシステムの大規模な改訂を、およそ10年スパンで行っています。Yo-Kingの開発から既に10年が経過し、TNSSでは次世代システムの開発に向けたプロジェクトがすでに始まっています。具体的にはYo-Kingと SmartCyliUSを、一つのシステムに統合するというものです。2つのシステムには共通する機能もありますが、どちらか一方にしか付与されていない機能もあります。統合することで互いのメリットを融合し、一つのシステムとして効率的に活用することを目指しています。